今年上半期、新型コロナウイルスの影響により、東京五輪をはじめとする多くのイベントが中止、延期となり、青森県を代表する夏祭り青森ねぶた祭もまた今年は中止となりました。
当社もイベント用品の制作会社としてその影響を大きく受けたひとつであります。
このまま黙っておけるはずもなく何かしら動き出さねばと試行錯誤しておりましたところ、多くの常連のお客様からたくさんのアイデアと応援をいただいた春先。
「昇華転写用の生地があるからマスクを作ってみようか」
当初、縫製を担当する当社社長はあまり気が進まなかったようです。とりあえずのつもりで当時不足していた白いマスクを制作、お客様にプレゼンをしてみましたところ大変好評いただきました。当時は医療従事者や介護従事者の皆さんが多く求められプリントをしない真っ白のままのマスクが大変好まれました。
現在も白マスクは皆さんに定番のものとしてお求めいただいております。
時は5月ごろ。本来であれば夏祭りの準備が始まる頃です。青森県各地の夏祭りの開催が見送られる決断の声があがりはじめました。
当社はかねてよりねぶた師の立田龍宝さんと交流があり、毎年立田さんの下絵を使ったオリジナルグッズを制作販売しております。しかし今年の情勢はいつもと違うということで、立田さんの応援のためにも当社としても何かできないかと考えておりました。これまで助けていただいた常連のお客様の声を伺い、立田さんとお話させていただいて作ったのが「青森ねぶたマスク」です。
立田さんの隈取デザイン、下絵デザインを中心としてとてもきらびやかで明るいデザインマスクを制作。また当社のデザイン制作チームがこれまでおもしろがって描いていた笑うゆる〜い金魚ねぶたを使った金魚ねぶたデザインを数パターン制作しました。販売は最初は店頭で。スタッフのツイッターを始め、その頃からインスタグラムを開始、それに伴ったお客様の口コミでこれまで当社の名前すら知らなかった多くの方々がおいでなり、笑顔でお求めいただけました。
当社スタッフは常勤として3名なので時折ご迷惑をおかけしておりましたが、皆様心あたたかい方々ばかりで何度もいらしていただいて、徹夜で制作するスタッフへ差し入れもいただき感謝しきれない限りでした。
その後、青森商工会様よりネット広告の斡旋や、立田さんのねぶた絵に魅せられた方々の応援により、これは全国で広がる祭り中止で気落ちするねぶたファンのためにも全国販売した方が良いとアドバイスをいただき、初めて本格的なネット販売(BASE https://aomories.thebase.in/)を始めました。
本当に沢山のねぶたファンの皆様がお求めになられ、その度に感想や応援のコメント、立田さんへの応援メッセージなどをお預かりしました。丁度ねぶた師の皆さんを応援するクラウドファンディング等も開始されておりましたので、直接的ではありませんでしたが、当社としても少しでも青森ねぶた祭の来年への応援に貢献できていればこれほど嬉しいことはありません。
現在もご近所様や常連のお客様、BASEでのインターネット販売、そして県内官公庁を始めとする皆様からお話をいただいております。
当社は決してスタッフの多い会社ではありません。そのためお待たせしてしまうこtもしばしばです。しかし常に心がけているのは手にとっていただく方が気持ちよく思っていただくことに尽きます。
イベント自体が不要不急と言われ、大変不安定な情勢ではありますが、そんな中でもたとえ小さくても幸せで笑顔がほころぶ瞬間を私たちは大切にしていきたい。それはイベントという非日常を取り扱う私たちが忘れてはいけないものです。
今後もお客様の声にお応えし、皆様の笑顔をみせていただくべく様々なものを作って参ります。